2022/05/13 (更新日: 2022/12/25)

【EBPMとは何か？】証拠に基づく政策立案（Evidence Based Policy Making）意味や課題について

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今回は【EBPMとは何か？】証拠に基づく政策立案（Evidence Based Policy Making）意味や課題についてです。

はじめに

Evidence Based Policy Making (EBPM) は、政府や主要な組織が、データ、研究、証拠に裏打ちされた政策を策定するために用いる戦略である。この手法により、政策が利用可能な最善の証拠と最新の研究に基づいていることが保証され、意思決定者が可能な限り最高の結果を生み出すよう導かれる。EBPMは、政策立案の重要な側面として広く認識されており、世界中の政府で採用されるようになってきています。今回は、EBPMの基本的な考え方やそのメリット、そしてなぜこのように人気のある手法なのかについて見ていきましょう。

エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング(EBPM)の定義

Evidence-Based Policy Making (EBPM)とは、実証研究、データ分析、その他の質の高い情報によるエビデンスを政策決定プロセスに取り入れる体系的なアプローチである。EBPMの目標は、政策が健全な研究と証拠、そして一般の人々の意見に基づいたものであることを保証することです。この手法は、多くの国の組織で採用されており、世界中の政府や機関で採用されるようになってきています。

EBPMの重要な要素は、利用可能な最善のエビデンスに基づいて政策決定が行われるようにすることです。これを実現するために、EBPMは、入手可能なデータセットやその他の信頼できる情報の分析に依存する。この分析では、政策決定が実行・実施される前に、その政策決定がもたらす潜在的な影響をすべて考慮する必要がある。使用する情報源には、定量的データ（経済的影響や社会的影響など）と定性的データ（世論など）の両方があり、特にコミュニティ、組織、市民などの影響を受ける当事者からフィードバックを収集することに注意が必要である。

また、意思決定の正確性を確保するために、開発プロセスに関わる政府省庁の代表者が協働する仕組みがあり、異なる視点が集まることで、政策設定の変更に伴う様々な利益やコスト間のトレードオフの可能性を分析することが可能になる。さらに、ステークホルダーとの対話を通じて、提案された政策を成功させるためにどのような支援が必要かを明らかにすることができる。

EBPMのメリット

エビデンスに基づく政策立案（EBPM）とは、確固たるエビデンス、事実、データに基づいた意思決定を目指す政策立案の戦略的アプローチである。利用可能な証拠を検討し、より広い文脈を理解し、よく練られた戦略を導入することで、政策立案者は、提示する解決策の長期的な影響を考慮し、十分な情報に基づいた意思決定を行うことができるようになるのです。

EBPMに関連する最も重要な利点には、次のようなものがある。

-より正確な政策決定 -裏付けとなる証拠が使用される場合、政策立案者は信頼できるデータと公平な情報源を自由に利用できるため、意思決定におけるエラーのリスクが減少する。

-透明性の向上 -エビデンスベースのアプローチにより、関係者はさまざまな部門を流れるデータをよりよく把握することができるようになる。

-偏見の減少 -エビデンスは、個人的な好みや利益を排除し、複数の機関によって承認されたベストプラクティスを中立的に表現している。

-内部からの革新 -新しいデータは、業界の変化やトレンドに対応するために、政府部門が自ら挑戦することを促します。

-意思決定プロセスの迅速化 – EBPMは、外部のリソースに依存するのではなく、社内のソースを用いて意思決定を支援することを重視しているため、正確性や完全性を犠牲にすることなく、迅速な意思決定を行うことができる。

エビデンスに基づく政策決定プロセス

エビデンスに基づく政策立案（EBPM）とは、どの政策やプログラムを採用し、実施すべきかを決定するために、利用可能なエビデンスを用いて政策やプログラムを作成するプロセスである。このプロセスは、データに基づく意思決定が、効果的、効率的、かつ公平な結果をもたらす可能性が高いという考えに基づいています。エビデンスに基づく政策立案を行うことで、政府は入手可能な最も信頼できる情報を用いて、最良の結果をもたらす戦略を開発することができます。それでは、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングのプロセスについて、より深く掘り下げてみましょう。

政策課題の特定

エビデンスに基づく政策決定プロセスは、組織やセクターによって異なるが、一般的には5つの重要なステップを踏む。最初のステップは、政策課題を特定することである。これには、特定の問題を解決したり、特定の生活水準を向上させたりするために、どのような政策や法律を実施すべきかを決定するためのデータ収集が含まれる。

このステップでは、政策立案者はプレスリリース、政府文書、世論調査、メディア報道などから収集した定量的・定性的データを検証し、直ちに行動を起こす必要がある問題を特定する。また、それらの問題が以前にも取り上げられたことがあるのか、新しい問題なのか、繰り返し発生する問題なのか、緊急性はどの程度あるのかを評価する必要がある。場合によっては、政策立案者は、問題空間について理解するために、特定のトピックに関する既存の文献を調査する必要があるかもしれない。

主要な懸念事項が特定されると、政策立案者はプロジェクトの範囲を正式に定義し、意思決定のための証拠の収集とその理解、どの解決策が最も適切かの決定、実施計画の策定、進捗状況のモニタリング、成果の評価というプロセスの次のステップに進む。最終的にこのアプローチは、政策がエビデンスに裏打ちされたものであることを確認しつつ、必要に応じて柔軟性を持たせるように設計されています。

エビデンスの収集と分析

証拠に基づく政策決定プロセスの最初のステップは、問題を特定し、証拠を収集することです。問題を特定し、それについて詳しく知ることで、意思決定者は、特定のニーズに合わせた解決策を開発することができます。

証拠集めは、問題のあらゆる側面について有効なデータを収集するために、調査方法を用いて行われる。これには、利害関係者の視点の分析、インタビュー、調査、実験、および/またはフォーカスグループの実施などが含まれる。データを収集した後、利害関係者はそれを分析し、問題がどの程度深刻であるか、また、その問題に対処するためにどのような潜在的解決策があるかを判断する必要があります。

第二段階では、代替となる政策の選択肢を検討し、特定された問題に対処するための行動として好ましい選択肢を選択することになる。この段階では、影響、実現可能性、費用対効果、政治的配慮などの要素を考慮しながら決定する必要がある。この段階では、様々な選択肢とその結果を、実現可能性と予算の制約を考慮しながら検討し、政策決定の影響を受ける市民にとって最も有益な方法を選択します。

望ましい政策オプションが選択されたら、政策立案者は、様々なレベルの政府（地方、州・県、連邦）において、当該オプションを実施するための行動計画を設計しなければならない。これには、実施過程での資金源を見つけること、また、法律で義務付けられている、あるいは一般的な慣行から導かれる、人口展開の前のリスク評価や監査に対処することも含まれる。

解決策の開発と実施

エビデンスに基づく政策立案の開発と実施のプロセスは、繰り返し行われるものである。データの動員、問題の分解、可能な解決策とリスクを評価するための調査、コストと利益を評価するための分析、利害関係者と政府間の合意に達するための合意形成、そして政策と関連規則の作成が必要である。

解決策の策定このステップでは、問題を多面的に分析し、目標を設定し、その目標を達成するための戦略を立て、類似の状況で使用されたベストプラクティスを含む検討すべき解決策の候補を特定し、異なる解決策の賛否を評価し、代替アプローチを評価し（コスト分析を含む）、市民/地域社会などの関係者から情報を得ます。

解決策を実行する。このステップでは、実施に向けた準備と能力の評価、誰が関与し、どのような役割を担うべきかの決定、必要なリソース（人材、資金など）の特定、実施戦略を支配する組織的責任と権力構造のマッピング、結果と進捗の測定基準を含む実施に関する詳細計画またはスケジュールの策定を行います。これらの準備段階がすべて完了すれば、当局は完全に運用可能なソリューションを展開し、その有効性を監視することができるようになる。これらの活動は、必要に応じて実施計画を適時に調整できるよう、継続的に評価する必要がある。

EBPMの課題

Evidence Based Policy Making (EBPM)とは、意思決定や問題解決のための情報として、厳密な調査や証拠に依拠した政策立案のアプローチである。利点がある一方で、エビデンスに基づく政策立案には多くの課題もあります。これらの課題には、入手可能なデータの制限、専門知識の不足、政治情勢の変化などが含まれる。このセクションでは、これらの課題を掘り下げていきます。

データへのアクセス制限

エビデンスに基づく政策立案（EBPM）は、政策立案者が意思決定に必要な信頼性の高いデータを入手し、利用できることが前提である。しかし、必要なデータが複数の機関にまたがっていたり、効率的に利用できる形で収集されていないことが非常に多いため、EBPMを考える上で重要な課題となっている。このように、EBPMの進展を阻害する要因として、データをめぐる問題がしばしば指摘される。

例えば、ガバナンスの不備や基準の不統一により正確かつタイムリーなデータにアクセスできない、大量のデータを有用な指標に変換する能力に限界がある、セクターを超えた協力体制がない、大量のデータセットを適切に処理したり貴重な知見を得るための高度な分析ツールを調達するためのリソースが限られている、といった問題である。さらに、既存のデータセットの法的保護の制限、他のITソリューションと統合されていないレガシーシステム、特に機密性の高い情報の適切な使用に関するプライバシー懸念などのシステム上の問題もある。

効果的な分析と効率的な意思決定の必要性に鑑み、EBPMに関わる関係者は、組織内の様々な部門におけるデータ収集、分析、管理、コミュニケーションに関する既存のシステムとプロセスを評価する戦略的な取り組みを行うべきである。そうすることで、既存の業務を効率化すると同時に、エビデンスに基づく政策決定に関する新たな可能性を可能にする、より統一的なソリューションを開発することが可能になる。

政策課題の複雑性

政策課題は複雑であるため、政策立案者は一般的に定量的・定性的な幅広いエビデンスを考慮する必要があります。情報に基づいた意思決定を行うためには、証拠の慎重な分析とシナリオの評価が必要であるため、強力な分析・調査能力を持たない者にとって、これは困難なことです。また、意思決定を行う前に、複数のステークホルダーの目標やニーズを分析し、アセスメントに反映させる必要があります。

さらに、政策イニシアチブをどのように進めるべきか、結論を出すためには、しばしば大量のデータを調査する必要があります。つまり、若手スタッフがRやパイソンプログラムなどのツールを使い、様々なソースをスクレイピングし、データを効果的に解釈する方法についてトレーニングする必要があるのです。エビデンスに基づく政策立案（EBPM）を成功させるためには、限られた資源で最大限の効果を上げるために、信頼できる質の高い情報を迅速に収集できる効率的な資源と方法が必要です。

最後に、EBPMの課題に取り組む際の品質保証を確保するためには、緻密な対策が必要である。意思決定者は、提案されている政策介入の正当性を評価するための基準を設定するとともに、これらの提案に関連する潜在的なリスクについても理解する必要がある。これらの政策がもたらすさらなる有害な結果は、伝統的な評価基準では容易に表れない可能性があり、環境、政治など、他の全現象を分析する必要がある。すべての関係者は、リスクは財務や規制の面だけでなく、無形の要素も、評価されずに放置されれば、長期的に影響を及ぼす可能性があることを認識しなければならない。

リソース不足

エビデンスに基づく政策立案（EBPM）の実施は、しばしば資源不足によって妨げられる。多くの政府は、関連するデータにアクセスし、それを解釈し、適用するために必要な資金、スキル、人材が不足している。効果的なEBPMを行うには、世論調査、既存の研究論文、公的統計、学術研究など、幅広いデータソースを注意深く分析する必要があります。生データの分析、データ分析の実施、意味のある結論の導出といった活動を行うための適切なインフラや人材がいなければ、政府が意思決定プロセスにエビデンスを有意義に組み込むことは困難であろう。

関連データへの不十分なアクセスに加え、政府は、効果的な証拠収集・管理のための技術ソリューションの購入に関連するコストに悩まされることもあります。EBPMに関連する目標は、ソフトウェア開発、ハードウェアの取得、その他の技術的ソリューションに多額の投資を必要とすることが多く、政府の財政状態を圧迫する可能性があります。このリスクは、政府予算内の限られた財源をめぐって大きな競争がある場合に特に深刻となります。

最後に、EBMPの利用に関連する課題として、政策立案者が分析ツールやその結果得られる結論の正確さと信頼性に確信を持てるようにすることにある。例えば、アルゴリズムの欠陥やモデルの誤算は、政策立案者がその結果に基づいて意思決定を行う際に、誤った仮定や不正確な予測につながる可能性がある。政策立案者は、潜在的な判断ミスに陥らないよう、分析ツールに関連する潜在的な限界に留意することが重要である。さらに、パフォーマンス・トラッキング・システムは、必要に応じて問題を迅速に特定できるように、適切に設定されなければならない。これらの課題を考慮すると、EBMPを成功させるためには、今後この戦略に積極的に取り組むことを望むすべての関係者が、多大な努力と専門知識を必要とすることは明らかである。

結論

結論として、持続可能なエビデンスに基づく政策の実施となると、それは簡単なことではないが、達成可能なことである。重要なのは、政策立案者が、政策の実効性を確保するために、さまざまな利害関係者との効果的なコミュニケーションと協力のプロセスに携わることである。リサーチと評価は、政策立案者に情報を提供するためのデータの収集と分析に不可欠であり、最終的に効果的で持続可能な解決策につながる。

EBPMのメリットと課題のまとめ

Evidence-Based Policy Making (EBPM)という概念は、意思決定の改善や政策形成の合理化につながる可能性があるとして、世界中で支持を集めている。しかし、政府の運営方法に大きな変化があるように、この制度改革にはメリットとデメリットの両方が存在する。ここでは、EBPMの導入に伴う主なメリットと課題を整理する。

メリット

-より効果的な政策決定のためのデータ活用の拡大
-より多くの情報を得た意思決定者
-公益のための成果の向上
-効果的な実施を確保するための厳格な評価・モニタリングプロセス
-利害関係者間の透明性を高める、より明確な説明責任システム
-明確なニーズを持つ分野に資源をより良く集中させることによるコスト削減

課題

-ローカルレベルでのデータへのアクセスや利用が不十分である。
-機密情報のプライバシーや守秘義務に関する問題の深刻化
-調査や実験などの重要なデータ収集方法に対する編集・操作の懸念
-証拠収集の実施に必要な資源、特に急速に変化する技術における機器。
-不人気なエビデンスに基づく政策や結果に対する政治的な反発

EBPM改善のための提言

Evidence-Based Policy Making (EBPM) プロセスを改善するための推奨戦略がある。その内容は以下の通りである。

1. EBPMのフレームワークを構築する。EBPMのフレームワークの確立：EBPM政策の実施、評価、伝達の段階を概説した、エビデンスに基づく政策立案のフレームワークを開発する。これにより、実務者は、これらの政策を開発・管理するための構造的なアプローチを持つことができるようになる。

2. データ共有の促進政府機関は、ベストプラクティスやデータセットを他の組織と共有するとともに、外部の専門家からエビデンスに基づく効果的な政策立案ツールや手法についての知見を得るよう奨励する必要がある。

3. ステークホルダーとのエンゲージメントに投資する。これは、対話、調査、フィードバック、合意形成を通じて、様々なステークホルダーの多様な視点を結集することにより、能動的な意思決定を促すものである。

4. 政府省庁間のコラボレーションを促進する。これにより、政策決定者は、2つの組織間で政策が重複する場合、努力の重複や目的の矛盾につながる可能性のある部門別ではなく、部門横断的な問題に全体的にアプローチすることによって、これらの政策が将来予期せぬ問題を引き起こさないことを保証することができる。

5. テクノロジーの活用とプロセスの改善 AIやビッグデータ解析などのデジタル技術を活用することで、データ収集や分析、経年変化のマッピングなどのプロセスを合理化しながら、根拠に基づく政策立案の効率と効果を高めることができます。

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